遠い600メートル

午前10時半。鏡平まであと600メートルの地点で、2リットルの水筒が空になった。まだ1リットル(+非常用0.5リットル)残っているものの、こんなハイペースで水を飲み干さざるを得ない状況は、まさに想定外だ。著しい体力消耗で、残りのたった600メートルがとてつもなく遠く感じる。必死の思いの超スローペース、峠を越えるとようやく木道に出た。

意識もうろう、フラフラな足取りで木道を進む。池が現れ、別天地のようにパーッと視界が開ける。そう、これが鏡平の鏡池だ。