初夏の鏡平

7月20日(土)・21日(日)の1泊2日で鏡平へ行ってきた。

1日目 新穂高温泉→鏡平

京王の深夜高速バスで新宿を前夜23時に出発、明け方前の3時半頃に平湯温泉に着いた。新穂高温泉行きの濃飛路線バスの始発は7時00分なので、3時間半ほど待つことになった。ひっそりしたバスセンター前のベンチで仮眠をとったが、予想以上に肌寒いため、ツエルトを被って過ごした。
始発バスで7時35分頃、新穂高温泉に到着。

左俣林道は濃い緑に包まれ、爽やかな雰囲気。道もよく整備されていたが、中崎橋は6月に来たときと同様、通行注意の看板が置かれていた。このまま今年度中は手付かずなのだろうか。

小池新道入口では、一部に残雪が見られたが、登山道はすっかり夏道になっている。

秩父沢では、橋のすぐ上に雪渓がまだ残っていた。例年に比べると登山者も少ないようだ。チボ岩のあたりで空が晴れ、強い日差しが照り付けるようになった。小池新道は風が流れないのでとても暑い。

イタドリガ原では、雪渓を割る形で道が出ていた。続くシシウドガ原で昼食を摂ったが、まだほとんどが雪渓に覆われていた。この時期にこれだけ残雪が見られるのも珍しい。

熊の踊り場付近も雪渓に覆われ、木道がまだ雪の下に隠れている箇所もあった。赤黄テープが巻かれた木片でマーキングされているので、ルートを見失う恐れはない。

写真を撮りつつゆっくり歩き、14時頃、鏡平山荘に到着。6月初めには建物のほとんどが雪に埋もれていたが、すっかり融けている。

鏡池では、畔にコバイケイソウが咲いていた。数年に一度だけ咲く、貴重な花。
この日は16時を過ぎると槍穂高の稜線は雲に隠れがちになり、夕焼けも見栄えしない様子だった。稜線に上がれば、西の空は美しく茜色に染まった雲が出ていたらしいのが悔やまれる。

2日目 鏡平→新穂高温泉


夜明け前の4時、弓折稜線に向けて鏡平山荘を出発。5時少し前、槍の北鎌尾根稜線に朝日の兆候が見られたが、地平線付近が雲に覆われていたため御来光は望めなかった。

弓折中段から弓折乗越までのルートは、昨年の7月17日や一昨年の7月21日に来たときよりも残雪が多かったが、滑らないよう雪切りがされていて問題なく歩けた。

最盛期は人が絶えない弓折乗越も、今回は時おり人が立ち寄る程度。薄曇りの空で日差しは柔らかく、ほとんど無風で稜線に居るとは思えないほど穏やか。

弓折岳頂上の湿地帯は、湿ってなく歩きやすい。今年は梅雨の降雨量が少ないためだろうか、各地で残雪が目立つ割には水不足気味に見える。

弓折北方稜線から大ノマカールにかけても、コバイケイソウの花が密集している。数年に一度しかない爆発開花の年のようだ。

この日は大ノマ乗越まで歩いたところで引き返した。5月にここから登り降りしたときは、お椀の縁のような急斜面で厳しいルートだったが、こうして無雪期に見ると緩斜面に思える。積雪で地形はずいぶん変化するものだ。

9時近くになると、安曇野側から雲が沸き上がり、すっかり太陽が覆われるようになった。

鏡平山荘に到着し、前夜にお願いしていた弁当を受け取って朝食。

鏡池も昨日と違ってすっかり曇り景色だった。11時頃、下山開始。

雪に覆われたシシウドガ原の様子。昨日と今日の天気が反対だったら良かったのに、と思ったりもした。

わさび平近くでは、枯れ木にツタアジサイが群生して、何かのモニュメントのようになっていた。
途中、雨に降られることはなく、無事に下山完了。