決断

池のすぐそばに鏡平山荘があるはずと思ったが、見当たらない。とにかく、ここで一休みし、写真を撮り始めた。すると、間を置かず雲がぐんぐん増え出し、ついには空を覆い尽くす。撮影タイムはあっけなく終了である。
重いザックを再び背負う。汗でベトベトに濡れた背当てがとても不快だが仕方ない。地図を見る限り、山荘はすぐ近くのはず。頑張ろう。木道を進むと、5分と経たず山荘が現れ、ホッとする。
山荘に着いてまず目に入ったのが、美味しそうなかき氷の看板。いやいや、まずは食事だ。期待した昼食メニューはあまりパッとしない。とりあえず、牛丼を注文。疲労であまり食欲を感じないところ、流し込むように腹に詰める。さて、今日の予定はどうしよう? 目標の双六キャンプ地までは2時間の標準コースタイムだが、今の疲れ具合で歩いたら、倍くらい要するのではないか。それに、写真をあまり撮れていないのも口惜しい。だが、ここ鏡平はキャンプ禁止地だ。泊まるとなったら山荘宿泊しかない。テント泊装備背負って来て山荘宿泊、うーん…。
どっちが後で後悔しないかと考えたら、写真を撮れる方だろう。泊まれば、夕日・朝日だって狙うことができる。そして、明日の午前で双六へ向かう登山道でも、曇った今日の午後と違って、絶好の被写体が見つかるはず。もちろん、体力温存も絶大なメリット。
腹をくくって、山荘のおやじさんに宿泊を申し出ると、今日混んでるよ、布団ひとつに二人で寝てもらう、良いね?とのこと。うひゃあ〜、分かりました、お願いします。もう、後は野となれ山となれ。