雪山実技第一回・谷川岳〜白毛門/天神平 2日目


朝食も沢山のおかずで満足。

今日は、ロープウェイで天神平スキー場まで上がることになった。ロープウェイのキャビンは、丸っこく宇宙船のポッドのようで、ちょっとかっこいい。冬山装備に身を包んでいると、SFチックな高揚感がある。

天気は快晴で風も弱く、暖かい。ここからは各班ごとの行動で、まず、稜線まで登ることになった。ふかふかの新雪が積もり、とても歩きにくい。トレースがあっても、それほど踏み固まっていないので、体重をかけるとズボズボと沈み込む。
講師からラッセル方法の説明を受けた後、踏み跡がないふかふかの新雪に、ノーアイゼンで飛び込んだ。吹きだまり箇所でピッケルのシャフトを突き刺してみると、長さいっぱいでも地面には届かない。足を入れると、腰まで沈み込んだ。講師のラッセル動作を見よう見まねで、やってみる。上の雪をピッケルで手前に落とし、ニードロップで押さえて、足踏みで固める。2〜3分程度ならハードな雪遊びで済むが、長々やってると、これはもう重労働だ。カラダが暑い。でも楽しい。

みんなクタクタになった頃で、小休止。トレースを辿って尾根まで登り、大休止となった。ここで簡単に行動食を摂る。暑いので、薄物フリースを脱ぎ、アウターの下はアンダーウェア1枚だけにしたが、運動量が大きいので、これで十分だ。雪が解けるほどではないので、気温は恐らく氷点下だろう。試しに雪をおにぎりのように握り絞めてみても、固まらず、息を吹きかけるとふわーっと飛んでいく。すごい! 本物のパウダースノーだ。

すばらしい快晴は、移動性高気圧のおかげだ。冬の谷川岳で、日曜日に移動性高気圧に巡り会えるなんて、本当に運が良いという。
トレースがまったくない急斜面を、ノーアイゼンで降りることになった。ちょっと怖い。自分1人じゃまずやらない場面なのだが、講師が不安げなく降り始めたのを見て安心し、みんなそれぞれに降り始めた。ツボ足でも、斜度があるので、けっこう早く降りられるものだ。10分経ったところで、今度は元のところへ登り返す。これは、道迷いの疑似体験も兼ねている。雪山では、下りに比べて登りは2〜3倍もの時間と体力を要するが、迷ったら、登り返すことが必要なのだ。そして、トレースを付けた場所とそれ以外の場所での歩きやすさの違いも、カラダで覚えることのひとつだ。
尾根まで登り返して、一面トレースだらけになったところで、今度は、滑落疑似体験。踏み固まったところを滑り台にし、落ちるときの加速感を味わった。途中に岩や木など衝突するものはなく、平坦なゴールで確実に止まるので、安心して滑り落ちられる。落ちるにしたがってぐんぐん加速する様子は、実際の事故だったらものすごく怖いものだろう。
その後は、やや堅めの雪面を見つけて、アイゼン歩行の練習。フラット歩行から逆ハの字、前爪蹴り込みでの急斜面歩行など、ひととおりやったのだが、雪質が柔らかすぎるため、ちゃんとした練習は、滑落停止技術などと合わせて、次回1月の富士山でしっかり教えていただけるようだ。
午後2時頃、無事に本日のカリキュラムを終え、解散となった。
こんなに楽しい体験、しばらくしたことがなかったなあ。