雲取山への一泊山行

3月3日(土)・4日(日)の2日間で、雲取山へ山行してきた。最後の山行は10月15日(土)・16日(日)の岩登り教室だったので、4か月半もブランクだったことになる。11月の頭にマイコプラズマ肺炎をこじらせてしまい、さらに今年に入ってからは仕事の都合なども重なって、山行の機会がなかなか持てなかったからだ。
今回のルートは、以下の通り。

天候は、金曜日と月曜日が南岸低気圧により崩れたが、土日曜は穏やかな好天。しかし、雲取山周辺は雲に巻かれて展望があまり効かなかった。2日間を通じて無風に近く、山頂付近の最低気温は-6℃と比較的暖か。最高気温は氷点下のため、霧氷が溶けることなく木々にびっしり付いていた。低気圧に挟まれた短い好天だったため、行動中の気圧変化が大きく、刻々と高度計のズレが生じた。行動中の衣類は、肌着の上に直接、ゴアのアウターシェルだけだったが、日差しがかかるときにはこれでも暑く、ピットジップとフロントジップ全開にすることもあった。
雲取山周辺は、2〜3月が最も積雪が多い時期で、さらに今年は例年より寒冷で積雪量が多いとのこと。北陸のように何10cmも一気にどっさり積もることはなく、5〜6cm程度ずつ小刻みに積もり溜まっているので、雪質は割と安定している印象だ。登山者が絶えず歩いているため、トレースはしっかり付いていて、夏道より歩きやすい箇所さえある。自分はトレーニングの意図もあって12本爪アイゼンとピッケルで歩いたが、見たところ、軽アイゼンとストックの人が多かった。
南向き斜面の奥多摩側は、雪が少なく、だらだらな単調で緩い登り坂が続くため、ちょっとつまらなかった。反対に、北向き斜面の秩父側は人も少なく静かで楽しめた。アイゼンの爪を効かせて急登降する箇所や、やせ尾根、鎖場、雪の吹きだまりなど、ルートも変化に富んでいる。
今回、辛かったのは、靴擦れを起こしたことだ。一昨年に買ったプラブーツを履いて行ったのだが、最後に履いたのは昨年の5月。買ったときに店員さんから聞いたアドバイスで、プラスチックが広がって変形しないよう紐を絞めて保管していたが、どうやら締まり過ぎたらしく、足に不自然な当たりができてしまった。靴擦れができたのは、くるぶしと土踏まずの中間付近。普通はまず靴擦れなどできない場所だが、それだけに足の皮が薄く、あっけなく表皮が剥がれてしまった。残念だったのは、せっかく講習会でテーピング方法を習っていたのに、肝心のテープを持って行かなかったことだ。仕方なくバンドエイドを貼ったが、強く擦れてほとんど役立たず。帰宅する頃には、靴下に赤黒い染みができていた。
また、久しぶりの雪上歩行で、脚上げの筋力低下も辛かった。プラブーツと12本爪アイゼンを合わせると片足2kg近くなり、さらに雪面から刺さった爪を引き剥がす力も必要になる。雪山講習会に参加した一昨年の12月を振り返ると、山行前には、プラブーツと鉛ウェイト足首巻きを付けて荒川の堤防を2時間×2回ほど歩いていた。あのトレーニングはそれなり効いたと思う。そして靴を履き慣らす効果もあったはずだ。ふだんやっているスポーツジムでのマシントレーニングでは、山行に重要な遅筋はあまり鍛えられないのを痛感した。
装備重量は、自分的基本装備である一眼レフカメラと交換レンズ5本や小型カーボン三脚など含め、トータル約20kg。いつもならどうってことない重量だが、ブランク期間で背筋持久力も落ち、ラストの霧藻ヶ峰付近ではヘトヘトになった。
食事は、土曜昼が行動食でヤマザキパン・ランチパック×2、土曜夜がトマトリゾット風おじや・ソーセージ入り。日曜朝がカボチャリゾット風おじや・ソーセージ入り。日曜昼が行動食で一本満足バー×2。おじやは、サトウの麦飯をソーセージと一緒に煮込んでから粉末スープを加えたもので、ジェットボイルの保温調理に向いた最近の自分的ヒットメニュー。本当は二日目の朝は刻みベーコンと味噌汁でおじやにしたかったが、2個パック入りで買ったソーセージや粉末スープのストック都合で、こうなった。ソーセージは、シャウエッセンにしたかったところ、自宅近所のスーパーでは売り切れで仕方なく安い類似品になった。ボイルすると、ソーセージの味の違いは大きいと思う。
行動中の飲料水(湯)は、土曜日が1.25L、日曜日が1.5L。水筒の都合で節約しながら飲んだため、もうちょっと余裕があれば良かった印象だ。


鴨沢バス停前の様子。積雪はまったく見られない。


指導標には、東京マラソンの焼き印も入っている。収益金から登山道整備などに補助が出ているのだろうか。


登りはじめは、無雪の道。


標高1200m付近で雪が現れ始める。マムシ岩手前の標高1400m付近で凍結箇所が現れたため、アイゼンを装着。


奥多摩小屋のキャンプ地では、今回、自分以外に5張りのテントがあった。このルートにおいて奥多摩小屋は、冬期のキャンプに最も快適な場所だと思う。なだらかな平地で設営がしやすく、気持ちが休まる環境だ。白岩小屋のキャンプ地とともに好きな場所である。雲取山荘のキャンプ地は狭い尾根な上に、小屋の発動機の音やハンバーグのガーリック臭なども漂ってくるので、できれば避けたい場所だ。
花粉の飛び始めで、このところ鼻づまりから睡眠不足気味。今回のキャンプはとても静かで快適、なんと9時間半ほど熟睡。雪道を歩くと、飛騨高山で過ごした子供の頃の記憶が呼び起こされるためか、当時のシーンが夢に現れた。


テント脇に立て置いていたピッケル。朝には霧氷が付いていた。


テントの天吊り部分も、霧氷がびっしり。


小曇取山近くの樹林。霧氷が美しい。


雲取山の山頂。ガスでまったく展望効かず。


9時半頃から2時間ほどはときどき青空が見えたが、残念ながらすでに下山途中。


白岩山の山頂。日差しで霧氷は溶け出していた。


霧藻ヶ峰休憩所は閉まっていた。でも、雪のないテラスでごろんと寝っ転がって、体力回復。


この付近の杉林は、まだ花粉を撒かないので、ほっとする。


ラストの三峯神社付近でも積雪は残っていた。