深い新雪に覆われた赤城山

12月22日(日)・23日(祝)の一泊二日で、群馬の赤城山へ行ってきた。

1日目 出宅→前橋→赤城少年自然の家

22日(日)は早朝5時過ぎの電車で出発して朝9時前に現地入りしようと思ったのだが、出発少し前、水筒にお湯を詰めようとしたところで傷み部分があるのに気づき、予備の水筒を探していたら時間に間に合わなくなってしまった。明るい時刻になって赤城山ライブカメラを見てみると、雪が舞って視界悪く、中途半端に歩きまわってもあまり楽しそうな状態ではない。参加させていただく懇親会の集合時刻は15時なので、それに間に合う時刻で向かうことにした。
川口から前橋まではJR高崎線とJR両毛線の乗り継ぎ待ちを含めても2時間ほどで行けてしまうし、鉄道運賃も1,620円、Suicaで済むのもありがたい。前橋駅からはバスに1時間半乗って赤城山へ向かうが、ガラガラに空いていてちょっと驚いた。富士見温泉から先は自分一人で借り切りバス状態。バス運賃は1,730円で、Suica/Pasmoに非対応なのは残念。

前橋市 赤城少年自然の家
http://gunma-nsp.com/akagi/index.php

15時少し前に、目的地の前橋市赤城少年自然の家に到着。受付を済ませてしばし歓談の後、16時からオリエンテーション。前橋観光コンベンション協会のWebサイトに掲載されている赤城山コース案内ページを使って、この場所の特徴などを教示いただいた。

前橋観光コンベンション協会・前橋まるごとガイド>赤城山登山全体マップとおすすめコース
http://www.maebashi-cvb.com/akagimap/index.html

17時から夕食となった。夕食は施設で決められた内容のもので、ふだんは学生さんやボーイスカウトなどの団体向けに出されているものなのだろう。子供の頃に食べた学校給食を思い出す、懐かしいものだった。
18時以降で入浴の案内になっていたのだが、食事後はすぐに懇親会へ流れ込んでしまい、入浴に立つ方は誰もいないらしい。夜遅くまで歓談の場は続き、現地の撮影スポットなど、貴重な情報をお聞きすることができた。

2日目 赤城山撮影→前橋→帰宅


23日(祝)は、早朝5時にクルマで八丁峠まで移動し、地蔵岳へ登って日の出の撮影に挑むことにした。八丁峠から地蔵岳まで、無雪期ならコースタイム30分だが、南岸低気圧がもたらした積雪で2倍以上の時間を費やす面倒なルートに変わっていた。階段状の木道が続く登り道なのだが、段と段の間が大きく開いた上に50cm以上の雪が積もって落とし穴のようになっている。自分が持って行ったアイゼンは前爪ありの12本爪だったのでノーアイゼンのほうが安全と考え、ツボ足で登ることにした。ワカンを持ってこなかったのが悔やまれる。途中でトップを交代しながら1時間ほどラッセルし、何とか鉄塔下のトラバース地点まで辿り着いた。北方に250メートルほど進めば山頂なのだが、途中、いかにも雪が吹き溜まってそうな鞍部を通過しなければならない。ワカンのある方は山頂へ向かわれたが、自分を含めた数名はこの場所に留まって撮影に挑むことにした。
深い新雪で非常に足場が悪い上に、左右には他の撮影者が並んでいる都合で、気ままに歩きまわれないのは辛い。太陽の出る位置は周りの方からお聞きし、だいたいの構図イメージを思い描いて三脚を立てたのだが、初めて来た場所で日の出風景を撮るのは相当に無理があることだ。

日の出とともに、純白の霧氷に覆われた樹木が紫から桜色へと美しく染まり始める。中空にガスが漂ってくれると美しく染まるらしいのだが、この日は残念ながら日の出直前でガスが晴れてしまった。樹林の手前に滑らかな雪面が広がっていると細長い影が投射されて面白いのだが、この場所には残念ながら細かな凹凸の雪面しかない。尾根の方向には半月が出ていたので、桜色に染まった霧氷の樹林と重ねて撮ったりもした。
光がオレンジ色から黄金色、薄黄色と変化したところで、撮影タイムは終了。撤収して下山開始。階段の落とし穴に注意しながらプチグリセードをまじえ、急いで降りて行ったら、10分程度で八丁峠に着いてしまった。無雪期なら山頂からの下りがコースタイム20分程度なので、山頂手前の位置から急げばこんなものだろう。
八丁峠からクルマで少年自然の家に戻り、朝食をいただいた。寝具整理と掃除を済ませた後、クルマで今度は五輪峠へ移動。

五輪峠は美しい霧氷の並木が続き、とても絵になるスポットだった。しばし撮影を楽しんだ後、団体で陣笠山へ登ることにした。五輪峠から陣笠山へは無雪期のコースタイム15分なのだが、ここも降り積もった新雪で膝上ラッセルになった。自分にトップの番がまわってきてみると、意外にも楽しく感じるラッセルだった。雪質が適度に重く、押し固めるとしっかり足場ができる。氷結していないので、急斜面でもピッケルでの崩し落としが楽々だった。

五輪峠から30分ほどラッセルして到着した陣笠山は、黒檜山の格好のビューポイントだった。ちょうど良い斜光の射す時刻にあったようで、白い毛皮をまとったような山容は大変に美しく印象的。
撮影を終えての帰り道は、途中、地元の方のお宅で軽食のおもてなしをいただいた上に、ありがたくも前橋駅までクルマで送っていただいた。写真について学ぶことも数多く、実に楽しいイベントだった。

二日間を振り返って

赤城山は観光地化が著しく、山岳写真というより風景写真に分類されそうなスポットである。山ヤ的に面白みの薄い山のようでもあるが、実際、積雪期に登ってみるとなかなか面白い場所だと思った。二つの沼を持った独特な外輪山の景観は、作品イメージをふくらませる余地が大きい。中心の大沼周囲を徒歩で一周するとだいたい1時間半らしいが、カシミール3Dなどで光と陰の位置関係を事前に研究してから現地の移動計画を立てると良いと思う。
川口市に住む自分にとって、アプローチの容易さも赤城山の大きな魅力だ。例えば、雲取山へ奥秩父三峰神社方面から登ろうと思えば、最も早い便でも、早朝6時半頃に川口を出発して三峰神社口には10時半頃の到着になる。料金は鉄道とバスの合計1,810円で済む三峰神社方面のほうが3,350円要する赤城山より安いが、アクセス時間では9時前に現地入りできる赤城山のほうが有利だ。
谷川岳八ヶ岳よりも晴天率を望めるのも、休日登山の社会人にはありがたいことだ。山頂付近には谷川岳を越えてきた湿ったガスがかかりやすいが、それもまた、作品素材として活かせる要素だと思う。
近いうちに機会を作り、ぜひともリベンジ撮影に挑みたい。ちなみに、赤城山の秘境的なスポットして紹介されたのが「銚子の伽藍」だ。

google検索>銚子の伽藍
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いつか行ってみたい場所のひとつとして覚えておく。