二日目は、夜明け前に弓折稜線まで登って朝日を撮る予定でいたのだが、一夜明けても取り切れない疲労と寒さに挫折。あたりが明るくなってから鏡池へ行き、カメラを片付ける人に様子を尋ねてみると、見事な朝焼けで雲が染まったとのこと。自分の限界に納得しつつも、実に残念な思いである。
辺りが明るくなって暖かさを包まれたころ、鏡平山荘謹製の朝弁当を持って、弓折稜線に向かって出発した。軽装でも、やはりこの急登はキツい。休み休み登って稜線まで辿り着いて、朝弁当を広げていると、物珍しそうにおばちゃんたちが話しかけてきた。「どこの弁当なの?」「鏡平山荘のですよ」「美味しそう」「おかずぎっしりでしょ?」「うん、すごいねえ」…。食が充実している北アルプスの山小屋でも、朝弁当は、おにぎり二つと柴漬け少々だけといった質素なものが珍しくない。比べればちょっと驚くほどの充実ぶりである。
食事を済ませた後は、大ノマ乗越まで行ってみた。遠くまで見通し良いものの、天気はずっと高曇り。青空と雲の対比や、光の陰影は期待できず、かと言って、ガスに巻かれる様もなく、撮影泣かせの天候だ。
鏡平山荘まで帰り降りる途中、槍ヶ岳を背景に三脚とセリフタイマーで自分撮りしてみた。あまりに決まり過ぎた絶景が逆効果で、現実味に乏しい合成写真のような仕上がりに苦笑してしまった。
鏡平山荘では、暖かいコーヒーをもらい、行動食用に持ってきたパンを食べた。午後は鏡池周辺で撮影を楽しんだ。
夕食は連泊者のためのスペシャルメニューで、揚げ物の代わりに野菜中心のおかずが並ぶ。確かに、連泊者は運動量が少ないし、しばらく山に居ると野菜が食べたくなる気持ちに十分応える内容だと思う。
夕食を食べ終え外へ出てみると、満月の月明かりで槍穂高が映え、雲が少しずつ沸き上がる様が素晴らしい。急いでカメラと三脚を抱え、鏡池まで行く。30秒シャッターで数枚撮ったところで、雲が槍穂高を隠してしまった。一瞬とは言え、印象的なシーンが撮れて大満足。



朝日を浴びる鏡平山荘北側。



北側から見た鏡平山荘。



弓折稜線への登山道にあった大きな霜柱。



鏡平山荘の朝弁当。美味しいおかずがぎっしり詰まっている。



弓折稜線から見た槍ヶ岳



弓折稜線から見た鏡平山荘。



弓折稜線から少し下り戻ったところで見た鏡池。急登の木道が波打つように見える。



鏡平山荘の夕食。初日は揚げ物中心の高カロリー食だったが、二泊目は野菜中心のヘルシー食。連泊者のみのスペシャルメニュー。



月明かりで鏡池に映える槍穂高。いい具合に雲がかかった。