最終日、明け方は鏡池で撮影してみた。日の出前のシルエットはここの定番ではあるが、近くでカメラを構える人たちの中に、空に向かって仰角を付けたアングルで撮る人が現れた。上空を見ると、高空の雲が良いぐあいに染まり、鏡池にも映っている! 急いで超広角レンズに付け替え、シャッターを切ったが、間に合わず、高空の雲は輝きを失っていた。シャッターチャンスはいつ訪れるか分からないものである。その後、日の出の瞬間は無事に撮ることができ、一安心。
辺りが明るくなったところで、山荘に戻り、朝食を摂った。山荘の朝食は、味噌汁付きでご飯とともにお代わり自由というメリットはあるものの、時間の束縛がない朝弁当のほうが良いと感じた。
食事の後、荷造りをすませ、山荘の女将さんとしばし雑談を交わす。来年はぜひ小屋開けの頃にも来てください、雪解け時期の写真も良いですよと言われ、はい、何とか都合を付けて来ますと答える。
下山は、木道が凍って滑り、ちょっと怖い。シシウドヶ原まで降りると、かなり暖かくなり、辺りの風景も紅葉に包まれてきた。秋真っ盛りなのに、寒いところから暖かいところに降りて鮮やかな風景を目にすると、まるで春のような気分になってしまう。その後はワサビ平に至るまで、見事な景色の連続に圧倒されてなかなか足が進まない。天候も素晴らしく、最終日に見せつけやがってバカヤロウ!と心の中で何度も叫んでしまった。
今年、鏡平の紅葉最盛期は10月7〜9日あたりで、生憎、タイミングを外してしまったが、ますますこの地の魅力に取り憑かれる結果となってしまった。来年は鏡平へ来る回数をなんとか増やしたいと思う。


鏡池の夜明け。



朝日を浴びる鏡池



下山途中、道端の落ち葉には霜がびっしり降りていた。



色付くナナカマド。部分枯れが目立った涸沢のものよりも、きれいだった。



秩父沢付近にて、見事な紅葉と槍ヶ岳



小池新道登山口近く、下山するのが惜しい青空と紅葉。



悪戯な人による落ち葉のアート。



ワサビ平近く、美しいブナ林の道。



絡まる蔦も紅葉。