双六での昼食

お花畑が広がる緩やかな稜線をしばらく歩き、目的地の双六小屋に到着。

池を前に、色とりどりのテント村ができている。清々しい風が抜け、快適なキャンプができそうだ。
双六小屋でキャンプ地利用の手続きを済ませ、見晴らし良い場所を陣取る。二泊する予定なので、通路近くの慌ただしい場所を避けつつ、水場やトイレにはほどほど近い場所が良いのだが、ほぼ、希望通りの場所を押さえることができた。お昼前なので、まだ到着者は少なく、空いているのだろう。鏡平から双六という近距離で終えるヘタレ行動も、場所取りには大きなメリットである。
テントの設営を終え、一休み。あまり疲れてはいないが、昼食は双六小屋で食べることにした。長期滞在する人が多い双六だから、たぶん、昼食メニューも充実しているはず。
小屋前のベンチに行ってみると、あの蛭子さんにまた会った。先ほど到着してとりあえずザックを降ろし、うどんを注文して待っているところだと言う。当方もこれから食事である旨伝え、売店受付へ行ってみる。期待のメニュー見ると、うどん、ラーメン、カレー、牛丼、おでんという、ありふれたものしかない。ちょっとがっかりしたが、双六特製・お肉たっぷりなどと、それぞれのメニューに書かれたポップに、少しばかりの期待をかけてみる。特製チャーシュー入りに惹かれ、ラーメンを食べることに決めた。
食を待つ間、ベンチで蛭子さんと話をする。蛭子さんは双六に一泊し、明日は三俣山荘のキャンプ地へ向かう予定とのこと。当方は、双六に二泊してから槍へ行くと伝える。すると蛭子さん、「あの大きいテン泊装備背負って西鎌尾根歩くって、おっさん大丈夫かよ?」と返してきた。「まあ、死にたくないからゆっくり歩いてくさ。もし着かなかったら、岩場でフライシートでも被って一夜明かすよ(笑)」と答える私。このへんの感覚も、お互い、単独テン泊行動を採る者同士、分かりあえる部分である。広い2人用テントに交換レンズ6本のカメラなどで30kgの重装備の当方と、ソロテントを始めとして軽量化に徹底してお金かけたと言われる蛭子さん、互いの行動方針に違いはあっても、危機管理の考え方は共通するのだ。
ほどなく、蛭子さんのうどん、私のラーメンが出来あがってきた。蛭子さん曰く、うどんは腰があって出汁もなかなか旨いとのこと。こちらのラーメンも、シコシコ麺に極厚チャーシュー、野菜たっぷりのスープも文句なしで満足度は非常に高い。企画下手だが中身は至極真面目なところに、口ベタだが人の良い飛騨らしさを感じた。