積雪の双六岳周辺山行を振り返って

交通手段

  • いつものことながら、夜行の毎日アルペン号やさわやか信州号での移動は、睡眠不足と疲れに悩まされる。さわやか信州号は料金が高い三列シート車を使う手もあるが、早々に予約の埋まってしまうことがネックだ。
  • ルート選択とも関係するが、どうせ初日は疲れで稜線まで行けないと割り切るならば、夜行便ではなく朝便で行って初日はワサビ平に幕営するべきなのかも知れない。ただし、雪が緩んだ午後の時間に左俣林道を歩くのはリスキーだ。

ルート選択


  • 今回、大ノマ乗越経由のルートを採ったが、これはスキーヤー向きのルートだと思う。一般登山者は、鏡沢経由のルートを採るほうが楽だし安全なのではないか?
  • 地形図を読むと、鏡沢の登りは標高1980m〜2090m付近の区間が最も傾斜の強い部分で、そこさえ越えれば概ね緩い登りで済みそうだ。この標高差110mの急登は、大ノマの核心部と同じ斜度27°だが、大ノマの核心部は200mもの登りで倍近い。その先、弓折尾根の登りに入ると、樹林の間の深雪の踏み抜きが注意点だが、大ノマカールのような雪崩れの恐怖よりはマシだろう。最後にきついのは、弓折中段から弓折山頂までの登りだ。トラバースの夏道は使えないため、斜度32°で標高差160mの尾根直登になる。この斜度は北穂沢と同レベルだ。(上の写真は、樅沢岳から見た弓折尾根と鏡平周辺の様子)
  • 小池新道入口からの登りは、夏道のような秩父沢を目指さずに、左俣川に沿い上流に向かって歩いてから鏡沢直下の取り付きに登るほうが、デブリ乗り越えのアップダウンにスタミナを使う必要がなくて良いと思う。左俣川の雪解け具合を見て判断したい。

写真撮影

  • 基本的に、積雪期はレンズ交換時のリスクからズームレンズ主体で撮っていたが、双六周辺の撮影地は逆光撮影をモノにできないと苦しい。しかし雪景色での逆光撮影は、ズームレンズ泣かせであることを強く感じた。念のため持って行った単焦点レンズと撮り比べてみると一目瞭然な違いがある。なるべく軽量化したいがここは妥協できないポイントだ。
  • この時期は山頂へ行ってもツルンとした風景が広がり、使える前景が少なくて構図に悩む。反面、シンプルな分、直感で決めた構図はだいたいそのまま通用する。
  • 意外にアプローチや中腹付近で、無雪期とは違う展望が楽しめたりハッとさせられる風景との出会いを感じた。下山した後になってから、あそこであれを撮っておけば良かったと思い返すものが多かった。
  • 今回は、双六岳周辺にて初めての残雪期バリエーション経験だったので仕方ないが、次回以降はそれなり行動時間が読めるようになるので、もっと撮影に時間を割く計画としたい。入梅前の残雪があるうち、ぜひとも鏡沢経由で弓折尾根を登ってみたい。

装備品

  • ヘルメットはあった方が良いが、ハーネスやロープは要らないと感じた。
  • シュラフはなるべくならスリーシーズン品で済ませたい。幕営地の吟味とスコップでの整地次第でも暖かさはまったく変わるので、うまく工夫すべきだろう。
  • テントの外張りは今回持って行かなかったが、正解だった。地形の特徴をよく知っているルートなのだから、厳しくない幕営場所を選べば良いわけだ。
  • スノーシューは強力だが、多くの場合でストックは邪魔になる。たすき掛けしたスリングにカラビナで吊してみたら、両手が空いて楽ができるし、カメラ操作もしやすく良かった。
  • スノーシューのオプションのフローテーションテイルも念のため持って行ったが、この時期は要らないと感じた。役立つのは新雪がどかどか降ったときだろうが、この時期でそんなことになっても雪崩れの恐怖で行動しないから、結局は要らないだろう。

食料

  • 調理用ガスは、買い置きのEPIエクスペディションを試しに持って行ったが、過剰品質かと思いきや、-5℃くらいの環境でも通常の低温対応ガスとはまるでパワーが違う。雪を溶かして水を作る場合、ガンガン連続使用によりボンベがとても冷えるので非常にメリット大と感じた。ただし、上の写真のように、バーナーとガスを別メーカーで組み合わせる使い方は、日本国内では保証対象外だ。
  • 今回は思いの外、調理食材を採らなかった。行動食でけっこう空腹感を満たしてしまったのが大きな原因だと思うが、短日数の行動計画の場合、調理食材の主食は少なくして、行動食を多めにする形が良いと感じた。
  • 晴れた日は直射日光を雪面反射とともに強烈に浴びるので、暑さ対策と水分補給の必要を強く感じた。明け方近くに出発するような場合、ハイドレーションは凍結する恐れがある。500mlペットボトルをホルダーで吊すのが簡単かつ効果的に感じた。
  • 日焼け対策とともに、ビタミンCタブレットも必須。所詮、瞬間接着剤みたいなものだが、今回こそはアミノバイタルも欲しいと思った。
  • 水分とともに塩分補給の目的で永谷園の松茸の味お吸い物を持って行ったが、イマイチ物足りない。具は少なくて良いから濃い味噌汁を飲みたい。