穂高の池めぐり

涸沢ヒュッテが主催する2泊3日のツアー「涸沢登山学校・穂高の池めぐり」に参加した。このツアーは、高名な山岳ガイド・次田経雄先生の案内により、秘境といわれる北穂池と奥又白池までのルートを辿る内容だ。
初日は、横尾に集合し、横尾から涸沢まで歩いた後、午後はヒュッテ裏の池の平と雪渓を使っての歩行練習。2日目は涸沢から北穂東稜を越えて北穂池まで往復。3日目は涸沢から前穂北尾根5.6のコルを越えて奥又白池へ行き、中畠新道から上高地へ下山。
涸沢から北穂池の往復は、重太郎新道を歩くくらいのレベルに感じた。奥又白池のルートは、途中1か所だけフィックスを張っていただいたが、スタンスはちゃんとある場所でこれも難易度は高くない印象。せいぜい大キレットや北穂〜涸沢岳くらいのレベル感だ。次田先生のお話によれば、まったくの初心者(ただし体力は必要)を連れてこのコースを案内できるガイドは他にいないだろうとのこと。決め手はやはり、ルートファインディングだと思う。普通、縦走ルートでのルーファイと言えば、半径300メートルくらいの範囲を視野に入れたものだと思うが、それとともに、半径3メートルくらいの範囲でどこを歩くかが、このバリエーションルートでは通過の難易度を大きく左右する。ザレのルンゼ横断や草付き急斜面のトラバースなど、次田先生の歩かれるポイントをほんの少し外れただけでも、ものすごく歩きにくくなった。足の置き場所まで忠実に追って歩くと驚くほど楽なのだ。
次田先生のお話によれば、足運びのひとつひとつの積み重ねで、初心者と熟練者ではまったく体力消耗が違ってくるとのこと。以下、次田先生のホームページで「歩く・登る・下る・岩稜」のリンクに書かれた簡潔なテキストが参考になる。

次田経雄 登山教室
http://www.go.tvm.ne.jp/~tsugita/

分かっていると思っていたことでも、実地で指導を受けてみると、目から鱗の気づきが数多くあった。
なお、装備の軽量化指針について伺ったところ、体重の1/10までは進める価値があるのではないかとのこと。例えば体重40kgの人なら4kgというかなり厳しい内容になるが、本当にエクストリームな行動を目指すときは、強く意識すべき値だ。


黄葉に彩られた屏風岩。


涸沢カールの紅葉は終盤だった。部分によって進み具合にムラがあったようで、一昨年を10年に一度級とすれば、今年は4〜5年に一度級といったところだろうか。


ガレ場を覆う錦秋。


今年初めてきちんと見た天の川。星座がわからないくらい星がいっぱい。


モルゲンロートに染まる涸沢岳


北穂池から望む大キレット


威風堂々とした南岳と深紅のナナカマド。


奥又白池にて、前穂高岳北尾根と落葉したナナカマド。


奥又白池に映える秋空。