残雪の燕岳・大天井岳 1日目

前日夜から深夜高速バスの毎日アルペン号で出発し、中房温泉に向かった。毎日アルペン号は、東京から登山口まで乗り換えなしに直行するのが大きなメリットだが、高速バスとしてのクオリティーは低いのが残念なところ。車内にトイレ設備がないため、何度もトイレ休憩停車があり、その都度、起こされてしまう。座席が狭く、自分のようなカラダが大きい者には非常に窮屈だ。今回もいつものごとく、睡眠不足に悩まされた。

朝6時30分頃、登山口の中房温泉に到着。朝食を摂って一休みし、装備を調えて7時30分頃、出発。第二ベンチまでは土の出ている部分が多い。日差しが強く、まるで初夏のような暑さだ。暑がりの自分はフリースを脱ぎ、上半身を長袖の肌着1枚のみにした。普通の人なら、肌着の上に半袖Tシャツ1枚重ねるくらいがちょうど良いと思う。
9時頃、第三ベンチに到着。休憩した後、アイゼンを装着。

富士見ベンチに到着したところで昼食を摂った。食事を終えたところで強烈な睡魔に襲われ、ザックの上に座ったまま1時間ほどウトウトとしてしまった。

合戦小屋では売店が仮営業中。昼食はすでに済ませているが小腹が減ったので、350円のカレーヌードルを買って食べ、満足。

13時30分頃、合戦小屋を出発。樹林を抜けると広い尾根の視界が開け、稜線の先には槍ヶ岳が見え始めた。風はほとんど感じない。白い雪面で日差しの照り返しがきつく、日焼け止めを塗っているのに顔面がヒリヒリしてきた。ルート上の雪はどんどん溶けてみぞれ状態。急斜面の直登ではうっかりすると脚が膝上まではまり込んだり、滑って何度か尻餅を付いてしまった。雪が締まっているときに比べ、倍以上の行動時間を要する感覚だ。

15時30分頃、ようやく燕山荘に到着。受付で500円払ってキャンプを申請、登録札を受け取る。テン場は大盛況で、7割ほどが埋まっていた。平らが確保できる空き場所を選び、スコップで整地を開始したが、緩んだ雪に悪戦苦闘。脚で踏み固めようとしたら、スボッと踏み抜いてしまった。凍結した堅めのブロックで穴埋めし、補強に勤しむ。お隣りさんと相談して腐った通路を付け直したりも含め、30分ほど費やした。

テントの設営ができたところで、ストックを使って鯉のぼりを立てた。涸沢ではお馴染みの鯉のぼりも、ここ燕では自分だけのようだ。鯉は滝を登る力強さで山ヤにとっても縁起物だし、通路間際の張り綱を蹴飛ばされないよう目印にしたり、トイレから戻るときにマイテントを見失わない効果など、実用面のメリットもあるのだが。
中房温泉の出発時点で水2リットル+ポカリスエット0.5リットル持っていたが、到着時点で残っていたのは水0.5リットルだけだった。お湯を沸かしてコンデンスミルク入りの紅茶を飲んで潤した後、1時間ほど昼寝。
夕暮れが近付いてきたところで目覚めたので辺りの景色を確認すると、霞んでイマイチ。日没の写真は諦めて、夕食作りに徹する。メニューはこのところの定番、トマトリゾット風おじや。具は、刻みタマネギ、ソーセージ(アルトバイエルン)、グリンピースを加えた。
日が沈むと風が出てきて、一気に寒くなった。19時頃、シュラフにくるまって早々に就寝。
23時頃、トイレ目覚めで燕山荘へ行く。星空は見えるが、霞んで星の数は少ない。この時期はまだ外トイレが使えず、テン泊者も山荘内のトイレを使わなければならない。靴の脱ぎ履きは面倒だが、テン場と山荘が至近距離なのでまあ良し。