横尾から涸沢へ


朝、目覚めると、テントの内壁がびっしり結露している。フライシートまでしっかり張ったのだが、風通しの悪い状態で、湿った衣類などからテント内部の湿度が上昇してしまったのだろう。
天気はときおり雨がぱらつく状態だが、ラジオで聞く予報によると、お昼までには雨が上がるらしい。

朝食は、恒例のアルファ米ではなく、茹でるパックご飯だ。近所のコンビニで見つけた「パパッとライス」という製品で、二つ折りにしてジェットボイル・クッカーにすっぽり収まる。湯煎で15分温める必要があるが、ジェットボイルのカップは保温性があるので、いったん沸騰させた後はガスを使う必要はなく、底のカバーをはめてしばらくそのまま放置しておけばいい。5分くらいしたところで、もう一度加熱して沸騰させ10分放置すれば出来あがり。おかずは、新穂高温泉売店で買った飛騨の漬け物。そして、フリーズドライの納豆汁だ。かなり満足度が高い。

雨上がりを待って、テントを撤収。昨晩に蹴飛ばされたらしいペグが1本、見事に曲がっていた。パッキングを終えたザックを背負い、出発しようと歩き出したところで、突然、後ろから大声、「水漏れてますよ!」と声かけられた。驚いて、腰のあたりに目をやると、ハイドレーションのチューブから水が噴き出している! すぐにチューブを折って水を止め、お礼を言い、あたりを見渡すと、チューブから外れた飲み口が近くに落ちていた。気付かないでいたら、大変なことになるところだった。水場に戻って補充、再パッキング。


9時00分頃、ようやく横尾を出発。雨上がりに陽を浴びた屏風岩が、堂々とした姿を見せている。近くを歩いていた方に、撮影適地を教えていただいた。

本谷橋近くに、サルが居た。赤い木の実を美味しそうに食べている。


近くを歩いている方から、屏風岩に滝があるのを教えていただいた。どう撮れば良いのか悩んでしまって、写真を見た感じもぱっとしないのは残念。そんなこんなで撮影に夢中、なかなか足が進まない。

11時20分頃、本谷橋に到着。とにかく人が多い。行動食の一本満足バーを昼食として摂る。

本谷橋から先は、いよいよ絢爛豪華な紅葉の道だ。一昨年に来たときよりも、紅葉のピーク時期にぴったり合ったらしく、見事な色彩美に目を奪われる。

14時00分頃、涸沢入口に辿り着く。夢中になって紅葉撮り、やはり足がなかなか進まない。

ついに紅葉の核心部だ。曇り空だというのに、この鮮やかさはすごい。


今年の涸沢の紅葉は、ナナカマドの傷みが少なく、とても鮮やかだ。これはひょっとすると、10年に1度級の当たり年かも知れない。
15時00分、キャンプ地に到着。テント満開で、空き地が少ない。今年は上より下が行動範囲だろうと思い、涸沢ヒュッテと涸沢小屋を結ぶ道より下側の比較的空いたガレ場に、テントを張ることにした。

夕食はパスタだが、今回はちょっと贅沢をしてジェットボイル専用フライパンを持ってきた。玉ねぎとハムをナイフで刻み、麺と一緒にオリーブオイルで炒める。ソースは、トマト・ガーリックだ。ボイルしただけのパスタと違って、炒めたパスタは数段まともな料理に仕上がる。文句なしに旨い!
夕方になると、再び雨がパラついてきた。風も強くなり、ときどきテントが揺れるほどになる。この強風で紅葉が落ちなければ良いのだが…。何とか明日まで持ってくれ。