適正な装備重量の考察

写真関係の機材を詰め込むと、どうしてもザック重量が増えてしまう。愛用している大型ザックのグレゴリー・パリセード80の場合、メーカー標記の快適重量範囲(コンフォートゾーン)は27kgとなっている。というか、最大容量モデルのデナリプロ105リットルでも同じ27kgのため、そもそも27kgを越える装備重量にコンフォートなんて言葉は想定していないのだろう。
ザック重量については、沢登り教室の講義で聞いたことだが、行動効率を落とさない限界は体重の1/4との基準があるそうだ。これは旧・文部省・登山研究所より発行された教科書「高みへのステップ」に、科学調査したデータとして記載されているのだという。そこでこんな表で計算してみた。

体重 1/4重量 1/3重量 1/2重量
40kg 10kg 13.3kg 20kg
50kg 12.5kg 16.7kg 25kg
60kg 15kg 20kg 30kg
70kg 17.5kg 23.3kg 35kg
80kg 20kg 26.7kg 40kg

自分の場合、身長は180cm台半ばで体重は80kgをちょっと越えている巨体なのだが、ザック重量が20kgを割っていれば空身とあまり変わらない感覚で、上記の1/4基準と一致する。コースタイムを維持して難所を問題なくクリアできる限界が30kg付近で、1/3重量に該当。そして、行動時間は遅くなるが担いで登山道を歩ける限界が40kgちょっとなので、1/2重量に該当する感じだ。こうやって比べてみると、グレゴリーがコンフォートゾーンとして示す27kgは、自分くらいの体格にだいたい合致しているのかも知れない。
必要重量をみた場合、今どきのテン泊装備なら10kg+水+食糧程度で無雪期は十分いけるはず。1週間ほど山にこもるなら合計15〜20kgくらいだろうか。積雪期の登攀まで含めるとさらに5〜10kgの増加だ。冬期で合計20〜30kgといったところで、上記の体重基準表にあてはめると、人によって1/2重量から1/4重量まで該当することが興味深い。女性や小柄な人は装備品を相当に吟味する必要のあることがよく分かる。
しかし、写真関係の機材というのは重い金属とガラスの塊なので、一般の登山装備品に比べ、体積比の重量が格段に増えてしまうのが悩みの種だ。本格的なものを揃えると5〜10kgほどになってしまう。合計で何とか1/3重量までに抑えられるよう、巨体な自分でもまだまだ研究しなければならないところだ。