笠ヶ岳から無事に下山


3泊4日の笠ヶ岳山行を計画通り終え、無事に下山した。
クリヤ谷の登山道はすこぶる明瞭。つづら折りの道の途中で横切る枯れ沢にうっかり誘い込まれさえしなければ、まず、迷うことはないルートだと思う。
心配していた渡渉も、一番下のポイントは飛び石で渡れ、上二つのポイントは水が枯れていてまったく問題なかった。ただし、もしも増水していた場合は渡るのはとうてい無理そうな沢であることも実感した。一番上のポイントでも沢幅5メートル余り、一番下のポイントでは沢幅10メートルほどあり、濁流で沢が埋まるような事態になれば恐ろしい光景が想像できる。

クリヤ谷での注意点は、大岩の乗り越えが多いことだと思う。湧き水のおかげで岩の表面が苔むしてよく滑る。しかも岩角が石器の刃のように鋭利で、うっかり手を付いたとき、薬指と小指の付け根に軽い切り傷を作ってしまった。軍手を着けてなかったことを後悔。登りルートなのでまだ良かったものの、下りに使うときは細心の注意が要ると思う。
クリヤ谷での大岩の乗り越え続きが原因と思うが、三日目の笠ヶ岳から鏡平への行程では筋肉痛に悩まされた。前週の雲取山縦走ではどうということもなかったのだが、やはり使う筋肉の部位が違ったのだろうか。
天候は、初日はまずまず。核心となった二日目は良好に晴れ、笠ヶ岳に登頂後、念願の播隆池と緑の笠にも行くことできた。三日目は雨の中の稜線歩き。雨合羽を着て大型ザック25kgを背負っていると、ツルツルした合羽の生地のおかげで背中やウエストベルトのフリクションが効かず、肩にずっしり加重がかかる。そこで思ったのだが、スリップ防止加工の生地を使った冬用アウターシェルならフリクションが効いて良いのかもしれない。考えてみれば、今年のゴールデンウイークに燕岳〜大天井岳の雪山縦走で30kgほど担いだが、今回よりも背負った感覚は良好だった。
天候は最後の四日目も雨。お昼に新穂高温泉に着いたところでようやく雨が止んだ。時間に余裕があったので、新穂高温泉から中尾高原口まで歩いてみた。3日前の入山ポイントまですべて徒歩でぐるり一周できたことになる。中尾高原口では無料の温泉「新穂高の湯」に入った。橋の通行者から丸見えの河原に作られた露天風呂。ある意味、貴重な体験のできる場所だ。
笠ヶ岳の南北稜線を歩き抜いて感じたことは、何より北アルプス雄大さだ。クリヤ谷は広々とした明るい谷で、風も適度に抜けるし水場も豊富。変化に富んで楽しいルートだった。ぜひまた歩いてみたいと思う。