雪山実技第三回・谷川岳〜登山センター上部 2日目

起床〜朝食

5時半頃、目覚めた。寝入り始めは少し肌寒さを感じていたのだが、起床時はすこぶる暖かい。よくよく考えてみると、自然の気温は普通、深夜から明け方にかけて下降していき、明け方頃が最も寒いわけだ。このリズムに人間のカラダは順応する仕組みになっているところ、雪洞泊の場合、室温は常に0℃を保っているため、明け方にかけカラダは逆に暖かさを感じてしまうのかも知れない。カラダが冷えていないおかげで、寝袋を畳むのに躊躇はない。
雪洞内を観察すると、柔らかい雪質が災いしたのか、入口側の天井がずいぶん低くなっている。でも、奥側の天井はそれほど下がっていないのが救いだ。講師の指示により、足を入口側に向けて寝ていたのが、ここでも役立った。ローソクの灯りはまだ消えていない。
今回、雪洞内は湿度が高いとの意識で、曇る眼鏡は避け、コンタクトレンズにしたのだが、カラダの位置の狭さ、手元の暗さ、そして眼の乾きで装着にちょっと苦労した。洞内の湿度は高くても、目元が乾くのは、体温で空気が膨張し相対的に湿度が低下するためだろう。眼鏡の人はとくに曇っている様子がなかったので、ここは眼鏡のほうが正解だったようだ。
天井が下がり、カラダを起こしての活動には支障をきたすため、朝食は外で作って食べることになった。個人装備と共同装備を整理し、アウターシェルを着る。ほふく前進で雪洞の外へ出た。時刻は6時頃。外は薄青く、そろそろヘッドライトを消しても大丈夫そうな明るさになってきた。
朝食メニューは、九州名物の棒ラーメンだ。具としてベーコンと玉ねぎを入れた、贅沢仕様。まず、雪を溶かしてお湯を作る段階で、火力が低下してきた。ボンベの残容量はまだあるのだが、推定-10℃ほどの外気温で液化ガスの揮発力が劣化してきたようだ。ここで、講師の知恵が光る。コッヘルの皿にぬるま湯を張り、ボンベの下に敷いた。水は空気よりずっと比熱が高いので、少量の水でも絶大な威力を発揮し、みるみる火力回復。こんな簡単な方法で火力を維持できるなんて、まったく知らなかった。極寒地仕様のガスやボンベ加温器など、われわれの山行レベルでは必要なかったのだ。
食事前に脱いで近くに置いていたアウターシェルを、ふと見ると、白い霜のようなものがかかっている。手に取ってみると、バリバリに凍結! そう、火があるおかけで寒さを感じなかったが、雪洞の外はやはり氷点下、油断できない環境だ。

ラッセルとビバーク技術


朝7時より、登山センター上部の急斜面で班単位に雪上行動の訓練を開始。各自、ハーネスを装着し、共同装備のロープとワカンを班のメンバー分担で持つ。アイゼンは装着せずツボ足で、単独でのラッセル方法を学んだ。12月の実技講習で来たときよりも雪質は締まっているが、1月の富士山に比べれば堅さはそれほどない。踏み出した足に体重をかけると、ズボズボと沈み込む。人の身長より深く積もった雪なので、うっかりするとまるで落とし穴にはまったようになる。

1時間ほどラッセルを続けたところで、ザックを背負って上方へ移動することになった。登っていくと、雪質の柔らかい場所に出た。トレースがない位置で、今度は隊列でのラッセルを行う。班のメンバー5人が一列に並び、順番に先頭者を入れ替わりながら、トレースを作っていく。一応、10歩で交代するルールになったが、各自、体力と相談しながら声をかけあい、交代していった。先頭者になってみると、後ろの人がいることを考え、最初のうちは丁寧にステップを刻もうとしたのだが、そうすると体力消耗が著しい。講師が先頭者になったときの動きを見ると、なるぺく簡単に素早くステップを刻むのがコツのようだ。ステップの質が少々悪くても、後続の人はなんとかするし、先頭者に比べればずっと速いので困ることはないわけだ。
大きな木の近くまで来たところで、講師から、あの根元を掘ってみようとの指示が出た。生きた木の根元には、大きな空洞があるのだという。ストンと落ちないよう注意しながら、人の背丈を越えそうな根元の穴に辿り付いた。スコップで周辺の雪を穴に落とし、踏み固めて穴を広げ、5人入れる空間を確保した。穴に降りてツエルトを被ってみると、とても暖かい。昨日作った雪洞は、計画露営(フォーカスト・ビバーク)で行ったものだが、これは、不時露営(フォースト・ビバーク)に使える技術だ。木は、凍らず生きるために発熱し、周りの雪を溶かす。そこをうまく利用すると、たったひとりでも労力を要さず、泊まる場所を得ることができる。
では、木のない場所ではどうすれば良いか? タコツボと呼ばれる方法や、ベッド型に四角く掘る方法、そして急斜面に椅子状の半雪洞を掘る方法などがある。穴を作ってツエルトを被れば、体力を温存できるのだ。実際に、講師のスコップさばきで素早く1人用のスペースを掘る方法を教わった。雪山においては、スコップとツエルトは必需品だ。
テント泊の場合もツエルトは必要なのか? 講師に尋ねたところ、テント泊こそツエルトは必需品との答えをいただいた。なぜなら、調理中など火でテントに穴を開けてしまう事故はよく起こることであり、そのときツエルトがなかったら、命の危険に直結するからだ。また、休憩タイムなど簡単に広げて使えるツエルトは、テントより小回りが利いて普段の行動中に役立つ装備だ。ツエルトを購入すると、ソーセージのように小さく硬く巻かれた状態になっているが、そのままでは簡単に広げたりしまったりすることができない。一回り大きなスタッフバッグに入れ替え、すぐ使える状態にし、ザックから簡単に取り出せる場所に入れておく。「山屋」にとって、ツエルトは非常用装備ではなく日常装備と位置付けるべきものなのだ。エマンジェンシーシートなどでも共通するが、使わないでずっと畳んだままに置いておくと、コーティングなどが溶けくっ付いて、使えなくなってしまうこともあるので、ときどき広げてチェックすることも必要とのこと。

ワカン歩行とフィックスドロープ通過技術


ワカンを履いたときの注意点は、左右の足さばきだ。面積があるので、うっかりすると、反対側の足に履いたワカンを踏んづけて転びそうになる。また、やわらかい雪質の場所では、ワカンを履いていても、ある程度は沈み込む。沈んだ足を上げるのには、けっこう体力を要する。花魁歩きと言われる方法で、足を後ろから前に戻すとき、外に半円を描くように歩くのが、良いそうだ。また、ワカンを使うときは、ピッケルよりもダブルストックのほうが相性が良い。自分は、ピッケルに持参したラッセルリングを付けてワカンで歩いてみたが、長さの不足を感じた。講師曰く「それは格好付け程度で、役立たないね」。そう、ストックならば、十分な長さが採れて、ずっと歩きやすい。本当に使いものになる装備こそが、山屋の持ち物なのだ。
ワカンが絶対に必要な場面は、水平なルートに雪が吹き溜まったようなところだという。水平なルートは斜面と違って圧雪されていないため、ふわふわで、ワカンがないとカラダが埋まるほどに足が沈み込んでしまう。ワカンとダブルストックで泳ぐように頑張ってラッセルしないと、進むことはできないのだ。そうした場面では、1時間費やして100メートルも進めないことさえあるが、せいぜい200〜300メートル頑張れば核心部を抜けられる場合が多いとのこと。人の踏み跡があるのとないのでは大違いだが、新雪が被って踏み跡が見えない状態であっても、新雪の下に踏み跡がある場所は、沈み込みが抑えられ、やはり歩きやすい。まったく踏み跡がない場所を歩くような、本当のラッセル経験を行う機会は意外と少ないが、運悪くそうした箇所に出会ったとき、めげないよう、もしもの心構えを持っておく必要がある。
ワカンの裏ワザで、アイゼンと併用する方法がある。ワカンを裏返しに装着し、その下にアイゼンを装着する。柔らかい雪と堅い雪が入り交じるルートでは、併用により履き替えの手間を省くことがでぎる。
講師にワカンとスノーシューの比較を尋ねたところ、山屋的には、まだ、ワカンのほうが優れるという。スノーシューでも急斜面に対応できるモデルが出てきているが、ワカンに比べ、歩行スピードで勝るところまではいっていない。装備重量として、ワカンの軽さが圧倒的に優れるとのこと。
ワカン歩行訓練が一段落したところで、講師より、離れた4本程度の木を結ぶ間で雪を踏み固めて道を付けるよう、指示が出た。われわれが踏み固めている最中、講師は木の間にロープを張っていく。準備が整ったところで行うのは、フィックスドロープの通過訓練。装着していたハーネスをようやく使う場面だ。
昨晩、150cmのソウンスリングで作った「うさぎの耳」の根元側を、ハーネスのビレイループにカウヒッチで結び付ける。「うさぎの耳」の耳側2本それぞれに、オートロックのカラビナを付け、そのうちの1本をフィックスドロープに掛ける。余ったもう1本は、次の木に張った支点までは使わないので、ぶらさげたままにしておく。ぶらぶらするのが気になる場合は、ギアラックに掛けるか、ロープに掛けた側のカラビナに掛けることもできるが、掛ければそれだけ支点通過のときに外す作業が増える。外す作業で時間が要したり、操作を誤るリスクがあることも、頭に入れておく必要がある。
フィックスドロープに沿ってトラバースし、次の木の支点まで来たら、ぶら下がっている方のカラビナを、支点の先に掛ける。確実に掛かったことを確認の後、支点の前まで掛けていた側のカラビナをロープから外し、だらんとぶら下げた状態にする。そして、次の支点まで、ロープに沿ってトラバースする。以上の繰り返しで、フィックスドロープのトラバース通過を行った。
続いて、斜面に張ったフィックスドロープの通過方法を学んだ。必要になるのは、スリングを摩擦力でフィックスドロープに固定する、フリクションノットの知識だ。ここでは、簡単にできるオートブロックノット(マッシャー)を中心に訓練を行った。結び目を持てばフィックスドロープ上を滑らせて移動することができ、ピレイループ側から引っ張れば摩擦力で固定され、安全を確保できる。なお、岩場のクライミングでは、プルージックと呼ばれる結び方が主に用いられるそうだ。マッシャーは両手を使わないと結べないが、プルージックは慣れれば片手で結べるので、片手がカラダを支えるのに塞がっている場合に、重宝する。マッシャーもプルージックも、ロープスリングの場合は、細くてしなやかなスリングを使うほうが密着が増して摩擦力を稼ぐことができる。テープスリングを使うと接触面積が大きいので、さらに強い摩擦力が得られる。ただし、これはナイロン製のテープスリングに限った話だ。ダイニーマ製のテープスリングは、融点が低いため、摩擦で溶断してしまう事故の恐れがあるので、フリクションノットには絶対に用いてはならないとのこと。
セルフビレイに用いるカラビナは、洋梨(ティアドロップ)型が良い。広い開口側に複数のスリングをかけることができ、オーバル型より強度で勝る。カラビナは一般的に、2個1組で使うケースが多いので、購入するときは2個単位で買うのが良いという。大きさは、自分の手で操作しやすいものを選ぶこと。大きすぎても、小さすぎても、操作に手間取って行動スピードを落とす要因になる。雪山でカラビナを使う場合、カラビナを凍結させないことにも注意する。行動中に安全環が開かなくなってしまうと、致命的だ。

雪洞破壊


フィックスドロープ通過訓練を終え、雪洞に戻り、休憩タイムとなった。隣の班の雪洞は、もう崩されていた。講師に尋ねてみると、こちらも崩して良いとのことなので、我が巨体を活かし(?)、雪洞の天井に乗って破壊工作に勤しんだ。作った雪洞の構造を改めて確認したが、やはり、入口側の天井が薄く、強度不足の感があった。
隣の班の人に聞いたところ、そちらの雪洞は、天井があまり落ちないで済んだらしい。雪質はあまり変わらないはずだが、作り方にちょっと違いがあった。隣の班の雪洞は、雪質が柔らかいことを見込んで、掘り始める前に天井を踏み固めていたのだ。ちょっとしたコツで結果が分かれたようだ。

雪崩捜索と埋没体験

11時になり、全員集合。主任講師より雪崩捜索訓練の概要が説明され、岳連の共同装備から、ビーコンとプローブが各班に配布された。ここからは、2班で1組の行動だ。自分が加わった組は、講師2人+受講者8人の編成になった。
まず、講師の1人が発信モードにセットしたビーコンを持って離れ、ビーコンを見えない場所に隠した。これを、われわれ受講者8人で探すことになった。与えられた共同装備のビーコン(アナログ式)2機、これに講師持参のビーコン(デジタル式)1機を借り加え、合計3機を受信モードにし、交代で操作した。デジタル式は距離を直読できて対象物を簡単に見つけやすいため、アナログ式を持つ人の後ろに付いて探しなさい、との講師から指示があった。また、ビーコンの理屈を理解するためには、アナログ式を操作するほうが勉強になるとのこと。
自分はまず、デジタル式を操作してみたが、確かに、あと何メートルという距離が読めるのは便利だし、方向を探す際にも、バーグラフ表示が役に立った。アナログ式では、距離に応じて測定感度を切り替えていく必要がある。また、アナログ式はアンテナが単一指向性ではなく8の字型の指向性になっているので、方向を探るときには特性を意識したコツが必要だ。また、自分が借りたデジタル式の場合、一定時間が経過すると、自動的に発信モードに切り替わってしまった。これは、ビーコン所持者がいざ埋没したとき、モード切替操作なんてできないだろうから、勝手に送信してくれるほうが安全思想に沿っている。しかし、捜索中に送信モードに切り替わってしまうと、他の捜索者に誤った目標を与えてしまうため、すぐ、受信モードに戻さなければならず、ちょっと不便だ。
ビーコン捜索の結果、すぐ近くの範囲に目標物があると絞り込んだ後は、プローブを雪面に突き刺し、手に当たる感触を頼りに探していく。人体と異なりビーコン単体で埋められているので、対象が小さく、特定にはちょっと苦労した。プローブは、50センチ単位で白黒の色分けがされ、今回使ったものは全長3メートルある。色分けは、対象物までの深さを測る役割だ。3メートルという深さは、埋没者が生存しうる短時間に掘り出せる限界を示す。これ以上深い場所に埋まっていた場合は、まず、助からないので、探す意味がないということになる。
捜索訓練を2回行った後、埋没体験訓練を行った。本当は全員体験するべきだが時間がないとのことで、体験希望者を2名募って行った。まず、棺型の穴を掘る。深さは70〜80センチくらいの感じだ。体験者が穴に横たわった後、ブルーシートを被せ、呼吸の隙間を確保しながら雪で埋めていった。
仕上がったところで、講師が体験者に大声で呼びかける。最初は甲高い声、次に低い声。体験者の返事が微かに聞こえた。続いて、プローブを慎重に突き刺し、雪を貫いて人体に当たったときの感触を全員交代で体験した。そして、プローブが岩など硬い物に当たったときの感触も比較体験した。埋められてから3分くらい経ったところで、講師が「自力で出てみなさい」と呼びかけたが、体験者の唸り声が微かに聞こえるだけで、雪はびくともしない。身長の半分に満たない深さなのだが、埋まった状態からの脱出がいかに人力の及ばない行為であるか、よく分かる。実際の雪崩の場合は、高い圧力がかかって押し固められているので、セメントに封じ込まれたような状態になるという。スコップで掘り出していくと、体験者の手足が動くようになり、雪の上に突き出した。ようやく起き上がり、無事に生還完了。
ここで、埋まったときの心境など、体験者にインタビューとなった。埋められた後、最初の講師の呼びかけでは、低い声のほうがよく聞こえたという。雪は高い音をより吸収する性質があるので、呼びかけは「低音の魅力」を効かせることが大切だ。
移動途中、巨大な雪庇の見える箇所に出た。稜線で一般的に見られる雪庇は、強風に煽られて出来るものだが、ここで見られる雪庇は、湿って堆積した雪が急斜面を滑り落ち、地形の起伏や樹木の丘などに引っかかり溜まって出来るものだ。講師の説明によれば、このような雪庇を利用すると、雪洞が作りやすいという。その反面、雪庇は崩れ落ちて雪崩を起こす原因、危険な存在でもある。雪庇を利用するか、それとも、雪庇には近付かず足早に遠ざかるか、その場その場の的確な状況判断が自らの命を守ることにつながるのだ。雪は敵にも味方にもなる。自然を上手に読んで、雪と友だちになれたらいいなあと思う。
後片付けの最中、持ち主不明の青いスコップが出てきた。講師曰く、装備に名前が書いてないなんて山屋失格だ、と…。持ち物に名前を書くのは、基本中の基本。特に冬山は、パーティーでの行動が基本である上に、装備を失ったら命の危険に直結する、と強く諭された。さて、自分の装備は…。帰宅したら、きちんと名前を書かなくては。

下山〜帰宅

12時、ひととおりの訓練を終え、チャーターバスが待つ谷川岳ロープウェイ駅へ降りた。共同装備の大鍋を洗ったりで後片付けを済ませた後、バスに乗り込む。
バスは13時頃出発。例によって、すぐ近くのスーパーに立ち寄り停車。全員、イナゴの大群のごとく、食料買い出しに夢中だ。農産物は都市部のスーパーで買うのがイヤになるくらい、圧倒的安さ。大粒のイチゴがカップ山盛りで298円など、お買い得な食材が並んでいる。ビールや酒を買う人が多かったが、自分は明日、飲み会を控えているので、アルコールは自粛し、寿司・お菓子・ドリンクヨーグルトなどを買った。山盛りの大粒イチゴにはちょっと後ろ髪を引かれる思いだったが、バスに乗ったら洗えないなあと考え、諦めた。
バスに乗った後は、飲み食いしつつ、周りの人たちと歓談。そうこうするうち、お裾分けであの大粒イチゴを一個いただいた。見栄えも素晴らしいが、味も最高だ。もちろん、洗ってはいないが、ちょっと前まで雪を溶かして調理していた「山屋」の端くれ、今さら気にしてどうするのだ?
一息ついたところで、マイクを順番にまわし、受講者全員がそれぞれの感想を語り合った。講師の総評があった後、講師への質問タイムとなった。雪洞のベンチレーターの考え方、冬山装備におけるロープの太さ基準などテクニカルなものから、講師のネパール遠征登山の体験談まで、幅広く貴重な話を聞くことができた。わが班の担当講師からは「ほかは忘れてもこれだけは忘れるな」という二つの注意が出た。「いついかなる場合でも、山に行くなら必ずツエルトを持て」。「持ち物には名前を書け」。肝に命じよう。
なお、雪洞泊講習については、今回のカリキュラムに盛り込むべきか講師の間で議論されたそうである。雪洞泊は酸欠などの事故例もあり、リスクが高い行動であることを意識しなければならないのだ。山岳行動での実用性の観点からは、戦前当時は雪洞泊が盛んに用いられてきたが、山岳用テントが発達した現代では、手間をかけた雪洞構築はほとんど行われないという。現在、計画露営(フォーカスト・ビバーク)としての雪洞泊は雪山行動の手段としてよりも、雪洞泊そのものを楽しむ目的で行うものなのだそうだ。その場合、万が一のリスクを考え、今回のようになるべく人が居る場所から近い範囲で雪洞を掘るほうが良いとのことである。
途中、パーキングエリアに留まって休憩をとりながら、18時半頃、新宿に無事到着。
本当に密度が高く、楽しい2日間の講習会だった。