雪山机上第四回・緊急避難と雪洞の作り方

ビバークと雪洞

次回の実技講習に向けた、雪洞に関する講義を受けた。
まず、用語として、野営(キャンプ)と露営(ビバーク)の違いが説明された。露営はさらに、計画露営(フォーカスト・ビバーク)と不時露営(フォースト・ビバーク)に分類される。次回、実技講習で行うのはフォーカスト・ビバークになるが、これは万が一のフォースト・ビバークに向けた訓練も意味する。
ビバークしようと考えたら、1時間以内にビバーク地を定めるべきだ。人間のアドレナリンは1時間程度が持続の限度であり、1時間を過ぎたら急激に意欲が低下する。行動不能に陥ってからでは遅い。また、適地を探すのは、これから行く先ではなく、これまで歩いてきた道を戻るほうが安全かつ確実だ。
ビバーク中は、気持ちが鬱状態に陥りやすいことに注意し、飲み食いと睡眠をとって体力温存を心がける。連泊になる可能性を考えると、夜明かしは行ってはならない。また、煙草は血管を収縮させ、酒は毛穴が開いて体温保持を妨げるので、非常時は絶対に避ける。
雪洞の特徴として、雪そのものが断熱材になるため、室温が氷点下には下がらないことが挙げられるが、そのための条件として、入口をシート等できちんとふさいで、すきま風を入れないようにすることが重要だ。ただし、酸欠防止のためのベンチレーターは必ず作っておかなければならない。雪洞内は湿度が飽和状態にあるので、濡れた服などは乾かない。場合によっては、濡れた服は外に出して凍らせたほうが、翌日着るのにマシなこともあるという。
雪洞泊では、ローソクが必需品だ。炎があることで、酸欠していないことの目安になり、時間をかければ簡単な湯沸かしくらいはできる。ローソクの色は雪面に映って心理的に影響するとのことで、なるべく赤などの暖色系が良いという。
雪洞構築の効率を上げるには、スノーソーを使うと良い。スノーソーで碁盤の目状に刻み入れたところを、スコップでブロック状に雪を切り出していく。切り出した雪のブロックは、入口に並べて、風防材として使う。内部の形は、アーチ状にすると強度を稼ぐことができる。ちょっとしたコツとして、入口と居室の境目に土間を掘ると、冷気がそこで止まるので良い。

次回の計画説明

次回は、2月19日(土)・20日(日)の2日間で、谷川岳へ行き、雪洞設営と生活・ラッセル・ビーコン操作などを学ぶ。
必要装備は、これまで使ったもの一式のほか、キッチン等で使われるゴム長手袋があると、雪洞掘りでの手濡れが抑えられて良いとのこと。もし、持っているならワカンやビーコンを持参しても良い。スノーソーとスコップは共同装備として用意される。
露営になるため、シュラフ・防水シュラフカバー・個人用マット、食器も必要。調理用のバーナーと五徳は共同設備として用意されるが、ガスボンベは班ごとに新しく購入する。
講師から一通り説明の後、班分けが発表された。参加予定者30名が8班に分かれ、それぞれに講師1名が付く。ただし、どの班にどの講師が付くかは、当日のお楽しみだそうだ。
最後に班ごとに集まり、食事メニューと食料調達分担の相談を行った。二週間後が楽しみだ。