雲ノ平から三俣キャンプ地へ

再び大荷物を担いで三俣へ戻る日がやってきた。居心地の良かった雲ノ平ともお別れ。若干、早立ちを意識し、朝食はアルファ米ではなく行動食用のお菓子類で、軽く済ませた。晴天続きでテントはよく乾いており、撤収はスムーズに完了。
06時40分頃、雲ノ平キャンプ地を出発。往路のときよりもザックが軽く感じる。食料が減って実際に軽くなった要素もあるが、それよりも、自分自身の筋力アップ効果が大きいと思う。

スイス庭園にて逆光の水晶岳を撮影。

08時40分頃、祖父岳山頂に到着。祖父岳分岐点からの所要時間は、約33分。昨日の軽装で登ったときより6分ほど多く要したが、それでも予想以上に早いペースで登ることができた。

09時45分頃、岩苔乗越に到着。さあ、ここまで来れば、あとは楽なだらだら下り道だ。


岩苔乗越のすぐ下で、クジャクチョウを見つけた。高山蝶ではないけれど、飛騨高山に暮らしていた子供の頃は、松倉山まで行かないと見ることができなかった蝶だ。自分にとっては、オオムラサキと並んで、一番好きな蝶でもある。

岩苔ルートの下り始めは、土むき出しの道から始まる。足元不安定なザレ場ではないので、安心して下ることができる。

少し下ると、黒部源流も水量が増え、沢らしくなってきた。下り道は緩い傾斜がずっと続き、足場もよく踏まれていて歩きやすい。

しばらく下ると、クルマユリ咲き誇る素晴らしいお花畑に入った。日差しは強いが、涼しい風が谷を降りるように流れるので、とても快適。まさに天国の道だ。

8月下旬なのに、タンポポも咲いている。

谷底の少し手前で現れる徒渉箇所。雲ノ平直行ルート入口の徒渉に比べ、沢幅が狭く渡りやすい。

谷底近くにようやく雪渓があった。

11時45分頃、岩苔ルート・雲ノ平直行ルートの分岐点に到着。コースタイム40分のルートに3時間要したのは、辛いからではない。写真撮影で夢中になっていたからだ。天国の道はここで終了。あとは三俣キャンプ地まで標高差200メートルほどの登り返し。

雲ノ平への直行ルート入口にある徒渉点では、先生に引率された高校生グループが、まさに沢を渡る最中に出会った。3日前に比べて沢の水量は減っていたが、それなり勇気が要るのは相変わらずだろう。

下から見上げた、雲ノ平への直行ルート。写真では雰囲気が伝わりにくいが、目の前に大きくそびえる斜面は、なかなかの迫力である。

13時20分頃、三俣キャンプ地に到着。登り返しの道は、風がなく、直射日光にあぶられる形でとても暑かった。

昼食は、三俣山荘でうどんを食べた。本当はカレーライスなどのご飯物が欲しかったのだが、残念ながら売り切れていて、麺類しか残っていなかった。
テントを張った後はのんびりしながら、夕方の過ごし方を考える。せっかくなので、鷲羽岳へ登ってみることにした。
16時前、早めに済ませた夕食メニューは、マルタイの棒ラーメンに、コンビーフ1缶を入れ、グリコのちょい食べカレースティックを2本かけたカレーラーメン。手持ちの食材に飽きてきた頃、カレー調味は重宝する。

16時30分頃、カメラと三脚を担いで鷲羽岳へ出発。中腹まで来たところで、稜線にガスが沸いてきた。鷲羽岳の山頂はすでにすっぽり雲に包まれている。登り切っても展望は望めないので、しばらく中腹の稜線で待機。槍ヶ岳などはまったく見えない。日没近くまで待ったが、いっこうにガスの切れるきざしがないため、撮影は断念、キャンプ地に戻った。