計画停電開始

通勤

前日夜に突然発表された、東京電力の電力不足対策のため輪番で行われる計画停電。影響の程度は分からないが、とにかく、今日は早朝出社することが会社からの指示だ。
朝5時に起床。テレビでニュースを見てみると、JRは山手線と京浜東北線しか運行しないという。しかも、自分がふだん使っている京浜東北線は赤羽〜蒲田の区間のみの運行だ。自宅の最寄り駅は、西川口または川口。川口から赤羽は隣同士の駅だが、荒川を越える必要があり、新荒川大橋までぐるりと回る都合で徒歩だと1時間以上要する。国からは、今朝は可能な限り通勤を控えて自宅での待機を検討するよう要請が出ているのだが、自分の仕事は社会インフラにも間接的に関係しており、この非常事態に出社できなければ、多くの人々の生活に影響を及ぼすことになりかねない。状況的に見て、今日は泊まり込みになることも覚悟しなければならないが、荷物は可能な限り減らさないと、今朝の出社そのものに支障を来しそうだ。

6時、最低限の持ち物で自宅を出発。川口駅まで行ってみると、報道の通り、まったく運行していない旨の張り紙があり閉鎖されている。赤羽駅までバスは運行していないし、タクシー乗り場は長蛇の列だ。仕方ないので、徒歩で赤羽駅まで行くことを決断し、社の関係者にケータイメールを打った。例によって道路は都心に向かうクルマと人が多い。歩道を歩いていて特に困るのが、歩行者の間を縫って走る自転車だ。乗り慣れていない人が多いらしく、よたよたとした走りで危ないことこの上ない。

時間に余裕がないので、新荒川大橋を渡った後は、走って赤羽駅へ向かった。このルートは、トレーニングで年に3〜4回程度は歩いているので不安はないが、これほど人が多い中を進むのは初めてだ。
7時過ぎ、赤羽駅に到着。報道の通り、京浜東北線は運行していて、一安心。しかし、報道を知らずに駅まで来た人も多いらしく、埼京線東北線などが運行休止している旨の張り紙を見て当惑している人たちの集団ができていた。ホームはいつもよりかなり空いている。さほど待つことなく、電車に乗ることができた。通常より遅延が予想される旨の車内アナウンスがされるが、乗っている人が少ないためか、電車は思ったよりスムーズに進んでいる。東京駅に着いたところで、時間調整のため5分ほど停車するというアナウンスがあり、向かいの山手線に乗り換えた。
8時ちょうど頃、浜松町駅に到着。ここまで来れば、会社までは徒歩で10分足らず。途中、コンビニで朝食と昼食を調達。運良く補充された直後だったらしく、問題なく食べ物を買うことができた。

計画停電

無事に出社し、オフィスのフロアに着くと、自分と同じグループメンバーの1人がすでに出社している。状況を聞くと、昨夜の時点では、計画停電に合わせて本日の昼から栃木県にある機器を停止する予定が大きく早まり、何と、8時20分から停止操作を始めることになったという。予想より遙かに影響範囲が大きい。あらかじめ分かっていることなら、電源車を手配して無停止運用できるのだが、今回のように緊急かつ社会全体で行われる停電には対応するすべがない。こんな大切な機器なのになぜ自家発電設備を持っていないのかとも思うが、このあたりは先方の経営者判断の領域だ。
関係者の出社状況を確認すると、自分たち2名のほかは、9時出社1名、10時出社2名、自宅待機1名。町田拠点の技術スタッフは2名とも自宅待機。鉄道の運行停止が大きく響いている。しかし、ケータイの規制がかかっていないのは、不幸中の幸いだ。栃木の現地メンバーより、機器停止が完了したとの連絡が入った。9時出社の事業部長が到着したところで、役員会議室を借り、対策本部設置。情報収集のかたわら、東電側のコロコロ変わる答弁に振り回されつつも、順次、行動計画を形にしていく。
停止した栃木の機器はいつ再開できるのか? この時点の予測は、22時30分〜24時30分の範囲だ。今日と明日の境が24時に来る。それより前か後かで、必要な対策は変えなければならないのも、頭の痛い問題だ。自宅待機のメンバーとの電話会議をはさみながら、それぞれのケースに応じたプランを整理する都度、栃木のスタッフに可否を打診。自宅待機のメンバーについては、自宅が計画停電の時間帯には、リモート作業の手足となるインターネットにつなげられない問題もある。場合によっては、周辺のケータイ基地局が止まる可能性だって、あるかも知れない。人と情報がいくつもの場所に分散しているため、こうした地域ブロック別の停電は本当にやっかいだ。
お昼は、役員会議室の中で食事を摂った。出社時に食料を確保しておいて良かった。
午後はほとんど、情報収集で待機に近い状態が続く。機器が再開するのが22時30分〜24時30分では、今夜は泊まり込みだろう。タクシーで帰宅しても良いが、タクシーがつかまるかどうか分からないし、翌朝の出社にも不安がある。
15時頃になって、栃木のメンバーより計画を大幅前倒しできる目処が立ったとの連絡が入った。機器再開実施が22時30分〜24時30分の予定から、18時に始められそうだ。自宅待機している町田の技術スタッフに連絡をとり、作業手順を確認してもらう。
18時、栃木より作業が遅れる旨の連絡が入る。何度か確認を繰り返し、結局、19時30分になってようやく、すべての機器を再開できた。町田の技術スタッフとケータイで連絡を取りながら、最終チェックした結果、問題なし。ほっとする。本日の対応を経た結果、明日以降は栃木側のメンバーだけで計画停電に対応可能だ。もっとも、機器停止によるロスは何とも回避できず、これはこれで頭が痛い。
20時、帰宅開始。JRは朝のときよりも運行範囲が広がり、京浜東北線は(ノロノロ運転ながらも)川口駅までそのまま乗っていくことができた。21時頃、無事に帰宅。