沢登り机上第一回・オリエンテーション


昨年受講した岩登り教室に続いて、今年は沢登り教室を受講することにした。机上講習は、これまでと同じく、小田急線の参宮橋から歩いて10分ほどにある、代々木オリンピックセンターで開催。この日は沢登りの心構えと必要な装備が説明され、参加費無料。内容を聞いて、次回以降に参加すべきかどうか判断すれば良い。受講料は6万5000円で、別途、テキスト代、実技の交通費、宿泊費も必要。もちろん、個人装備品も各自で用意しなければならない。
冒頭で語られたのは、沢登り行動の危険性だ。これまで参加した岩登りや雪山と比べても、危険度は高いという。具体的な危険要素には、落石、増水、雪渓、墜落、道迷い、獣(熊など)、害虫(蜂など)が挙げられた。一昨年には奥多摩沢登り講習会中の死傷事故が大きく報道されたことも記憶に新しい。奥多摩の事故事例では救助活動中の防災ヘリが墜落したこともあるように、沢登り中の事故には地形的な救助の困難さも付随している。リスクをゼロにすることは不可能であるため、可能な限りリスクを最小化するための知識と能力を身に付けていくのが、この教室の大きな目的でもある。
続いて語られたのが、安全を高めるための心構えだ。入山前に大切なのは、計画、装備、体調管理の三点。そして山行中は、4S(Speed, Simple, Safety, Sure: スピード、シンプル、安全、確実性)を心がける。安易な行動・確認・考えはせず、不注意を絶対にしないことだ。

全体スケジュール

5か月間で予定するカリキュラムは、6回の机上講習と5回の実技講習。
6月は、ロープワークや沢の遡行など基礎を学ぶ。実技講習の場所は、丹沢・モミソ懸垂岩と水無川本谷。テントで一泊二日の行程だ。1日目は岩登りで、2日目で入沢する。
7月は、渡渉やへつりなど沢の遡行技術を中心に学ぶ。実技講習の場所は、奥多摩・水根沢。
8月は、机上で最近の事故事例と読図を学び、実技は岩登りトレーニングと滝の登攀を学ぶ。実技講習の場所は、丹沢・広沢寺・葛葉川。
9月は、沢の遡行技術を深めるため、西丹沢・小川谷へ行く。
10月は、机上でテーピングを学び、実技はツエルトでのワンビバークによる沢登りを体験する。実技講習の場所は、秩父・東沢釜の沢。この回は、金曜日の夜に出発し途中仮眠を経て、土日曜の実技となる。

必要な装備


靴類
履き物 渓流タビまたは渓流シューズ
スパッツ 沢用、ネオプレン製
アプローチシューズ 軽登山靴など、運動靴も可

渓流シューズにはフエルト底のものとゴム(アクアステルス)底のものがあるが、どちらでも良いとのこと。

ギア類
ハーネス 岩登り用レッグループタイプも可、スワミベルトは不可
カラビナ 環付3枚、うち1枚は大きめHMS
ソウスリング 120cm×1本
ロープスリング 150cm×1本
ヘルメット 登攀用
下降器 ATCまたはエイト環

これらは岩登り教室で用意したものがそのまま使える。

ウエア類
下着 化繊素材
靴下 沢登り用
上着 速乾性の長袖、長ズボン
手袋 ビレイ用、軍手でも可
ザック 1泊では40〜60リットル、日帰りは20〜30リットルでも可
雨具 ゴアなど防水透湿素材

沢登り用の靴下は、渓流シューズならネオプレーン製、渓流タビなら先割れのウールまたは化繊のものだ。このほか、タオルと着替えもあると良い。なお、速乾性ウエアで最近評判が良いのは、ファイントラック製品のようだ。

生活用品類
シュラフ 夏用、シュラフカバーだけでも可
シュラフカバー ゴアなど防水透湿素材
マット 空気注入式またはロールでも可
食器 キャンプ用
割り箸でも可
水筒 ペットボトルでも可
ライター 着火用
着火剤 焚き火用、新聞紙など
ノコギリ 焚き火用

水筒のほかテルモスがあると、冷えたカラダを温かい飲み物で助けることができるので良い。なお、ノコギリは各自用意しなくても借りられるようだ。

その他

ヘッドランプ、コンパス、地形図、トイレットペーパー、ジップロック、常備薬など、山行に共通した基本装備品のほか、スキンガードなどの防虫スプレーも必要。これは丹沢のヒル対策に使う。

参加申込みと保険加入

講習会の参加条件として、山岳登攀に対応した遭難対策保険への加入が義務付けられている。jRO(日本山岳救助機構)と日山協(日本山岳協会)のものが推奨だが、モンベルの山岳保険などでも可。今回、初回の実技講習が6月16日に予定されているので、新たな保険加入がそれに間に合わない場合は、日掛けの保険で対応すること。